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大谷 暢夫
PNC TN9410 97-011, 45 Pages, 1997/01
核燃料施設の臨界安全管理の信頼生の向上と臨界安全設計の合理化を目的として,核燃料を含む体系の実効増倍率(未臨界度)を直接モニターする未臨界度モニターの開発研究を進めている。未臨界度モニターに適用する測定・解析手法としてウェーブレット解析を検討した。本研究では,未臨界度を検出する為の測定データである中性子雑音データを,ウェーブレット解析を適用して処理する事によって,体系が臨界に近接していることを検知する手法を開発した。ウェーブレット解析は信号の時間変化を評価する解析手法であり,短時間の間の信号の処理を集積することによって情報を得る。その結果,これまで未臨界度モニター手法として適用されてきた炉雑音解析手法であるファインマン-アルファ法やミハルゾ法と比較して,体系が定常であることが要求される時間間隔が短く,応答の速い未臨界度モニター手法として適用が期待できる。ウェーブレット解析では,適用するウェーブレット関数に多様な選択が可能であるが,ここではファインマン-アルファ法等の測定に採用してきたマルチチャンネルスケーラー(MCS)による測定データを処理することを想定して,カーディナルスプライン関数を用いる離散変換を選択した。又,臨界への近接を数値的に表現する為に,模擬的に作成された非増倍系の計数との比較によって評価を行う手法を考案した。2階及び4階のカーディナルスプライン関数によるウェーブレット解析の計算式の導出と計算プログラムの作成を行い,重水臨界実験装置(DCA)における測定データを処理して,体系が臨界に近接したことを検知できることを確認した。